いつものように朝5時に家を出て、有馬までの往復 1時間。
爽やかな空気の中を、ウグイスやキジの鳴き声を聞きながら歩く。
この時間に出会うお馴染みさん達と笑顔で挨拶を交わす。
今日も一日、元気でスタートを切れそうだ~♪
そう思って歩いていると、
近くの施設に入居されてる87歳のお婆ちゃんに出会った。
このお婆ちゃん、毎朝、有馬のお寺までお参りに行かれるそうだ。
背中が丸くなって、後ろ姿はちょっぴり寂しそうに見えるが、
若い頃は方々の山を登り歩いた、自称「山女」だったそうな・・・。
「おばあちゃん、おはようございます。今日も元気そうやねぇ!」
「体は元気やけどな、だんだん足がアカンようになってなぁ・・・」
坂道が多いこのコース。帰りは けっこうキツイ上り坂になっている。
その中ほどに、ちょうど良い具合にデッキのあるお家がある。
「いつもな、 ここで一服させてもらうんよ」 と
お婆ちゃんは腰を下ろした。
「そうそう、ゆっくり休み休み帰ってね~。それじゃ、お先に・・・」
・・と、その時、家の中から若い男性が出て来て こう言った。
「ここはウチの敷地だから、座らないで下さい!」
え? 思いがけない言葉に、一瞬 耳を疑った。
「すんませんな~」とお婆ちゃんは立ち上がって又歩き出そうとした。
私はその時、無性に腹が立った。
「ちょっとお兄さん、腰掛けるぐらい、いいじゃないですか!
この坂道、お年寄りでなくてもシンドイんやから・・・」
「でも、他人の敷地内に入ってもらったら困ります!」
その男性が陶芸をしていると云うのは知っていたが、
いったい、どんな作品を作っているのか見てみたい気がした。
ぬくもりを感じる作品はこの人には作れないだろうと思った。
別れ際、お婆ちゃんが手さげ袋の中から
飴玉を3つ取り出して、私の手のひらに乗せてくれた。
「がんばろう! 日本」
想いをつないで応援しよう!